注文住宅の土台「基礎」 施主は目を光らせるべき!!
注文住宅の建築工事で、最も問題が起こりやすく、そして最も手直しにくいのが「基礎」です。これはその家の工法、構造にかかわらず共通していることです。どんなに立派な豪邸でも、基礎がしっかりといていない将来的に大きな問題が発生します。基礎工事こそ注文住宅の「要」と言えるでしょう。
「基礎」は施主が十分にチェックすべき!!
そもそも基礎の種類や、形状、寸法が、地盤調査に基づいて決定されていることが必要なのです。法律では、許容応力などの地盤の強さに応じた基礎を選ぶよう明記されており、地盤調査を行なわないと、基本的には地盤の許容応力度はわからないからです。施工業者の中には「この地域は地盤が良いから」などと、経験と勘で基礎の種類を決めている場合もあるので、注意が必要です。必ず地盤調査を行いましょう。
基礎工事は、地面を掘る「根切り」からスタートします。寒冷地域では冬は地面が凍結するので、地面が凍らない深さまで基礎の底を下げる必要があります。根切りが終わると、割栗石という石を敷いて固める工程に進みます。場合によっては、この上に地面からの湿気を防ぐ防湿シートを敷くケースもあります。防湿シートは厚さ0.1mmのものでもよいとされていますが、0.2~0.3mm厚のほうが湿気を防ぎ、破れにくいのでお勧めします。
さらに、割栗石や防湿シートの上に「レベルコンクリート」「捨てコンクリ」です。基礎にコンクリートを流し込みます。これは、底面の凸凹を少なくし、基礎の精度を確保するためのもので、あったほうが良いでしょう。配筋と型枠の距離がコンクリートのかぶり厚は暑いほうが良いでしょう。基礎工事の中心は、鉄筋を組む「配筋工事」と、コンクリートを流し込む「打設工事」の二つが主流となっています。チェックポイントとしては、配筋と型枠との距離がきちんとあるかチェックしてください。この距離が、コンクリートのかぶり厚になるので重要です。アルカリ性のコンクリートに覆われていると、鉄筋は錆びませんが、年月の経過とともにコンクリートは空気中の二酸化炭素などと反応して中性化していきます。中性化速度は、10年で1cm前後とされ、コンクリートのかぶり厚は適正かどうかの確認が必要です。ただ鉄筋が入っていればよいのではありません。
基礎の配筋と型枠のチェックが重要!!
鉄筋は建物の寿命を大きく左右するファクターです。建築基準法では、コンクリートのかぶり厚について、基礎の立ち上がり部分は5cm、土と接する部分は6cmとなっています。配筋と型枠の距離は、メジャーやスケールで簡単に計れるので、ぜひ自分で確認してください。もし、底面でかぶり厚が足りない場合は、スペーサーの数を増やしたり、あるいはスペーサーの大きさをひとまわり大きくしてもらいましょう。立ち上がり部分で鉄筋のかぶり厚が足りない場合は、非常に問題です。鉄筋が途中で曲がっているのが原囚なら、正しい位置に曲げて直せばいいのですが、実は曲げると強度に問題が出るので注意が必要です。
さらには、鉄筋の根元の部分からかぶり厚が足りないのなら、根もどしは現実的には不可能です。この場合、かぶり厚が不足している側の型枠を一度はずし、基礎の幅を広げる必要がありますが、こうなると現場監督にお願いするしかありません。1万円くらい包めば、ホイホイと言いながら現場監督は動くでしょう。
かぶり厚が足りない基礎に共通するのは、立ち上がり部分の幅が10mと狭いことです。計算上、18cm幅あればかぶり厚は確保できるはずなのですが、実際には多少の施工誤差があり、15cm幅にするのが望ましいといえます。一般的な戸建ての基礎で立ち上がり幅を12mから15mに広げても、コストアップはせいぜい10万円程度に過ぎません。もし、現場を確認して狭いようならお願いしましょう。
アンカーボルトは耐震性に大きな影響を与える!!
基礎と建物の土台をつなぐのが、アンカーボルトと呼ばれる金物です。基礎と住宅をつなぐと考えてよいでしょう。アンカーボルトの位置は、建物の隅部、土台の継手部、筋かいや構造用合板を設けた柱の両側、それ以外は2m間隔で取り付けるとされています。しかし、このアンカーボルトが所定の位置になかったり、基礎の中央からずれたりしていると所定の強度が出ません。住宅の強度や耐震性に大きな影響を与えます。ですから、土台がきちんと基礎に固定されず、耐震性に大きな問題が生じます。
こうしたトラブルの原因で多いのは、基礎伏図にきちんとアンカーボルトの位置が記載されていない場合です。コストカットをした住宅の図面だと、アンカーボルトの位置が小さい点で示してあるだけの場合があるので、注意が必要です。
アンカーボルトは入念に確認を行いましょう!!
上記のようなケースは少なくありません。なかには基礎伏図がなく、現場で適当につくっているケースもあります。これのローコスト系の住宅では非常に多いことです。これらは設計図書を見ればチェック可能なので、必ずチェックしてください。また、アンカーボルトをあらかじめ鉄筋に固定せず、コンクリートを流し込んでから埋め込む方法をとっていると、高さや位置がずれやすくなります。この手法は様々な面で問題があるといえるでしょう。これは俗に「手植え」「田植え」といわれ、絶対に避けなければなりません。
なお、コンクリートを流し込んだあと、アンカーボルトが足りなかったり、アンカーボルトの位置がずれていたりしたときは、「ケミカルアンカー」というものを使用します。これは、薬品の化学反応で、あとから金物を基礎のコンクリートに固定するものです。応急策としては最善の方法です。
鉄筋についた剥離剤は必ずふき取ること!!
一般的な戸建て住宅の基礎のコンクリートを流し込む型枠は、何回も繰り返し使える鋼製が主流です。マンションなどでは木製のコンパネが用いられますが、戸建て住宅では鋼製の枠で行われます。コンクリートが固まったあと、この鋼製の型枠を取り外ししやすいよう必ず「剥離剤」を塗ります。問題は、この剥離剤が鉄筋に付くと、鉄筋とコンクリートがはがれやすくなることです。枠には剥離剤がついても問題ないのですが、鉄筋に付着することはタブーなのです。型枠とコンクリートは剥がれやすくなるのは良いのですが、鉄筋とコンクリートが剥がれやすくなってしまっては、大問題です。鉄筋コンクリートは、鉄筋とコンクリートが密着することで強さを発揮するのに、これでは逆効果です。大きな問題です。その原因は、剥離剤の塗り方にあります。型枠を組む前に、あらかじめローラーで剥離剤を塗っておくのが正しいやり方ですが、作業工程を簡略化して、型枠を組んだあとで、噴霧器などでスプレーする施工業者もいます。こうなると、鉄筋にも付着してしまうのです。剥離剤が鉄筋に付着していたら、コンクリートの打設前に必ずふき取ってもららいましょう。剥離剤の付着が多く広範囲にわたるときは、鉄筋をすべて交換しなければならない場合もありまが、そこは厳しく指摘しましょう。
コンクリートの打設は水と時間がポイント!!
コンクリートを型枠に流し込む作業を「打設」と言います。これも施工者によってばらつきが大きい作業なので注意が必要です。最もチェックすべきなのは、「余分な水が加わっていないか」ということです。生コンエ場から出荷されるコンクリートには適切な分量の水が入っており、ある程度の粘度があります。しかし、それを現場で水で薄める業者が後を絶ちません。水を入れて粘度を下げると、コンクリートの強度が大幅に下がってしまいます。これの対策法としては、コンクリート打設作業の際に、現場に立ち会うことが最善の策です。どんなに不届きの業者でも、施主の前で水を入れたりはしません。しかし、施主がその場にいなければ、多くの場合でコンクリートを薄める行為が行われているが実情です。
剥離剤が鉄筋に付着 した際の対応法!!
コンクリートにわずかでも余分に水を加えると強度が低下しますし、ひび割れの原因にもなります。雨の日にコンクリートの打設を行なわないのも、同じ理由からです。雨が続くようなら、多少工事が長引いても、日程を延期してもらうべきです。多くの施工業者は雨でもコンクリート打設を行うので、注意が必要です。小雨でもコンクリート打設は行わないことです。
コンクリートの打設時間にも注意してください。コンクリートは、生コン工場を出てから打設完了まで、気温が25度以上なら90分以内、25度未満なら120分以内に打設しないといけないとされています。そうしないとコンクリートの強度が落ちてしまうのです。
これを確実に守るには、ポンプ車を使うのがいちばんです。ポンプ車を1台借りる費用はオペレーターが一人ついておよそ5~10万円程度に過ぎません。これに対し、一輪車で運んで流し込んだり、シュートを使って流し込んだりするのを見かけますが、時間がかかり、きれいに流し込むことも難しくなります。逆にこちらのほうが不効率といえるでしょう。コンクリートの打設中に時開かあきすぎると「コールドジョイント」という欠陥現象が起こります。そのほか、締め固めが不十分だと「ジャンカ」、気温が低すぎると「凍害」といった欠陥現象を起こります。あまりひどいと基礎工事はやり直し必要になります。判断が難しい場合は、第三者機関などに相談すべきです。基礎がしっかりしていないと、どんなに立派な家を建てても意味がありません。
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